(以下、千葉県 内閣府食品安全委員会 ホームページを引用いたします。)
鳥インフルエンザは、A型インフルエンザウイルスによる鳥の感染症です。また、鳥に感染するインフルエンザウイルスを鳥インフルエンザウイルスと言います。
A型インフルエンザウイルスは、ウイルスの表面にあるタンパク質であるHA(ヘマグルチニン)とNA(ノイラミニダーゼ)の性状により、16のHA亜型と9のNA亜型に分類されます。
鳥インフルエンザウイルスは、野生の水鳥(カモなど)が広く保有しており、他の野鳥や家きんにも感染することがあります。
鳥インフルエンザウイルスには多数の株があり、ウイルス株と感染した鳥の種類により感染のしやすさや症状の程度に差があります。
鳥インフルエンザウイルスに感染した野生の水鳥は、その腸管や気道でウイルスが増殖しますが、通常は無症状です。そして、糞や唾液、鼻汁にウイルスを放出します。
感染した水鳥の糞に含まれるウイルスが湖水中に放出され、水を介して他の水鳥へ感染が広がります。
また、猛きん類は、感染した野鳥を捕食することによりウイルスに感染すると考えられています。
高病原性鳥インフルエンザとは、家きんに対する伝染力が強く、急速に多数の死亡をもたらす家きんの伝染病です。
「家畜伝染病予防法」では、家きんに対する病原性の程度およびウイルスの変異の可能性によって鳥インフルエンザを下表の3つに分類しています。
なお、「高病原性」や「低病原性」という表現は、家きんに対する病原性の強さを示したもので、野鳥や人に対する病原性とは異なるものです。
分類 | 家きんに対する病原性 | ウイルスのHA亜型 |
---|---|---|
高病原性鳥インフルエンザ | 高い | すべての亜型(ただし、これまで確認があるのはH5またはH7亜型) |
低病原性鳥インフルエンザ | 低い | H5またはH7亜型※ |
鳥インフルエンザ | 低い | H5またはH7以外の亜型 |
※H5またはH7亜型は、低病原性であっても、家きんの間で感染を繰り返すうちに高病原性に変異する可能性があるため、その他の亜型と区別して扱われています。
野生の水鳥(カモなど)が通常保有する鳥インフルエンザウイルスは、水鳥にも家きんにも病気を起こしません。
野生の水鳥が保有するウイルスが家きんに感染し、家きんの間で感染を繰り返すうちに家きんに対して高い病原性を示すウイルスに変異したのが、高病原性鳥インフルエンザウイルスです。
16あるHA亜型のうち、これまでH5亜型とH7亜型から高病原性のウイルスが出現しています。
かつては、高病原性鳥インフルエンザは、発生してもいずれ終息し原因ウイルスは消滅していましたが、近年、海外では高病原性鳥インフルエンザウイルスが消滅せず感染が繰り返されているような地域もみられます。
そのような場合、家きんから野鳥への感染も起こりえます。野鳥への感染しやすさや感染した場合の症状の重さは、ウイルス株や鳥の種類によって差があります。
感染しても症状の出ない種類の野鳥もいれば、死亡する野鳥もいます。
日本のように、ウイルスが常在していない地域へのウイルスの侵入には、渡り鳥が関与していると考えられています。
高病原性鳥インフルエンザに感染しても症状を出さずにウイルスが体内で増えるような種類の鳥が、家きんの間で高病原性鳥インフルエンザが発生している地域でウイルスに感染し、渡りで長距離を移動して別の地域にウイルスを持ち込んでいると推測されています。
このため、高病原性鳥インフルエンザの対策では、家きんが鳥インフルエンザウイルスに感染することを防ぐこと、また、家きんの間で感染が繰り返されたり、高病原性鳥インフルエンザの常在化を防ぐような全世界での取り組みが重要です。
併せて、渡り鳥の移動ルートの解明や、渡り鳥が海外からウイルスを持ち込んだ場合に早期に発見することも重要です。
野生の鳥は、餌が取れずに衰弱したり、環境の変化に耐えられず死んでしまうこともあります。
また、車や建物等に激突して死んでしまうこともありますので、野鳥が死んでいても鳥インフルエンザを直ちに疑う必要はありません。
A 日常生活において野鳥など野生動物の排泄物等に触れた後には、手洗いとうがいをしていただければ、
過度に心配する必要はありません。
A 野生の鳥は様々な原因で死亡します。建築物などへの衝突死、エサが採れずに衰弱したり、環境の変化に
耐えられずに死んでしまうこともあります。
ですが、死んだ鳥は様々な病気を持っていますので、検査対象とならない野鳥の死体については、
直接触らず、ビニール袋に入れて一般ゴミとして処理をお願いします。
A 鳥は生き物ですから、人と同じように、いつかは死んでしまいます。
そしてその原因も様々ですから、鳥が死んだからといって直ちに鳥インフルエンザを疑う必要は
ありません。ご心配であればお近くの獣医師にご相談ください。
A 直接野鳥やその糞便等に触れない限り感染する可能性はほとんどありません。
屋外で鳥を飼われている場合は、できる限り屋内での飼養をお願いします。
A基本的に犬や猫は、鳥インフルエンザに感染しにくく、感染しても発症しにくい動物と言われています。
ですが、死んだ鳥は様々な病気を持っていますので、飼われている犬や猫が、死んでいる鳥等を
食べないよう注意をお願いします。
A日本には外来種などを含めると600種以上の野鳥が生息しております。
鳥も生き物ですから様々な原因で死亡し、その死亡数も県単位で考えると極めて大量です。
これらのすべての死体を検査することは困難です。
そのため、環境省で選定した鳥インフルエンザに感染するリスクの高い種類を優先的に、
効率良く検査を行っております。
A 鳥インフルエンザウイルスは、大抵の消毒薬であれば効果があります。
市販の消毒薬でも構いませんし、家庭にある漂白剤を希釈して散布していただいても効果があります。
(種類にもよりますが100倍~300倍を目安に)
A 渡り鳥には、春に南方から渡来して、秋に再び南方に渡去する夏鳥と、秋に北方より渡来して、
春に再び北方に渡去する冬鳥があります。
また、春と秋の一時期だけ日本を通過する鳥を旅鳥と言います。
夏鳥はツバメやカッコウ等、旅鳥はシギ類やチドリ類等そして冬鳥はガン類、ハクチョウ類、
カモ類(一部留鳥)等が該当します。